30代男性の未婚率、17〜76% 所得で最大4倍の差

政府は日本経済を分析して課題などをまとめた2023年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を公表した。物価や賃金の上昇により、長く続いたデフレからの脱却が近づく。焦点の所得の増加に力点を置いた白書のポイントを解説する。

白書は日本の少子化について①女性人口の減少②非婚化の進行③夫婦の出生率の低下――が「三重の要因」となって進行していると分析した。

このうち非婚化が進む背景として、賃金水準の低さや男女の賃金格差が影響している可能性があると指摘した。総務省の22年の就業構造基本調査をもとに、職に就いている30代男性の所得と未婚率の関係を分析した。

所得が低いほど未婚率が高い傾向が浮かび上がった。所得の低い200万円台の層は64.7%、100万円台で76.3%だった。年収800万円以上の層では17.3%、600万〜700万円台で21.4%と、相対的に低い水準にあった。

所得階層によって最大4倍超の差が出た。こうした傾向は12年、17年の調査でもみられた。構造的な賃上げの実現などで若年層の所得向上を図ることが結婚を増やすのに重要になる。

白書は「結婚時に夫に高い年収を求める傾向につながっている」とも言及した。共働きの世帯が増えても現状では、子育てや家事の負担は女性に偏りがちなことが背景にある。

所得の多い女性がさらに高い年収の男性を結婚相手に求める傾向もある。

育児による時短などの影響が出ないよう子供のいない共働きの女性でみると、年収が1000万〜1499万円の場合、自身が夫より年収が多い割合は33%にとどまる。逆に収入が同水準の男性の96%は妻より年収が高かった。

賃上げなどで所得を底上げし、男女の賃金差を縮めることが結婚につながる。さらに白書は出産後の女性の所得減を抑えることが「女性が結婚相手に求める年収の低下につながり、結婚へのハードルを低くすることが期待される」とみている。